それから半年ほど、ピクニックごっこを続けてみたけれど、「カラカラさん」は現れなかった。


颯太は、最初は寂しそうだったが、やがて成長し、保育園で新しい遊びを覚えて、水曜日も友達といたがるようになった。


そして今年、颯太は小学生になった。毎日給食が出されるので、水曜日でもお弁当を作ることはなくなってしまった。


私は颯太の成長を喜びながらも、時々寂しくなるようになった。そして、遅番の水曜日になると、出勤途中に遠回りして公園に行き、あの背中を探す。


だが、もう彼はいない。






「カラカラさん」は幸せだろうか。


颯太はすくすく育っていって、四歳の時、しばらく影響を受けた人のことは忘れて、新しい刺激に夢中になる。


けれど、私は、あの名前も知らない男性のことは忘れられないし、これからもそうだろう。そして、時に彼を思って唐揚げを作る。その唐揚げは、不思議と美味しい味がするのだ。


(了)