「お願いが、あるのです」



 噛み締めるように、膝の上で固めた拳を見詰め、少女はもう一度、言を紡ぐ。



「貴方は、喪われた音律に仕える御方とお聞きしました。

 そして、それらを自由に取り出し、弾くことが出来ると。

 だから……わたくしの願いを、叶えて欲しいのです」