「希みは、貴女の愛しい方の、音色ですね」 微笑む顔はそのままに、漆黒の瞳が少女を見遣る。 「真っ黒な髪に、細い瞳。 背は……随分と高い事だ。 手を挙げれば、回廊の庇の手が届くかな? 貴女は、その方を見上げるのがお好きだった」