僕も携帯をスピーカーにし、片手には読みかけの文庫本を持つ。


《あ、本題なんだけどさ、エルザ月曜日からの学校生活が大変になること、自覚してる?》


「ええ。貴方みたいに冷やかしてくる人も少なくないだろうとは思ってますよ。とんでもない事をしましたし」


本を読みながら冷静に返した言葉に「嫌みだなぁ」と満島先輩に返されたがそれも受け流しつつ、心の中では結構どうしようかともやもや考えている事でもあるから、蔑ろには出来ない。


《エルザには何か考えがある?お前絡まれるのあんまり得意じゃないっしょ?》


自分は絡んでくるくせに、人のことは良く分かってるというか何というか。


「だんまりを決め込むのが一番かな、と思っています」


特にこの先の事に良いアイデアの無い僕は、少し憂鬱な気持ちで答えた。


《だんまりは逆につけあがると思うぞ。……そうだな、受け流すのが苦手なら荘司にやるように、バッサリ切ってしまえば良いんじゃないか?》


そんな僕に、受話器越しに赤嶺先輩が大した事ではないと言うように話し出す。