「もしもし、あの、用が無いのであれば切りますが」


《なっ!エルザか?こんばんは!》


「えっと、こんばんは」


電話の相手が僕だと分かって何故か律儀に挨拶をする赤嶺先輩に、少し戸惑いつつもつられて挨拶してしまう。


まぁ、あんなことしでかしてしまったから、少しの緊張はある。僕も、赤嶺先輩の方にも。


《しっかし、お前達凄かったよなぁ昨日。エルザかっこよかったなー。映画の撮影間近で見てるみたいだったよ》


《いっ……言うなぁ!こっぱずかしい!》


携帯の向こう側で、二人のいつもの掛け合いが聞こえる。それがどんな光景か分かる気がして、思わず小さな笑い声が出てしまった。


《お、エルザ笑った?今笑ったろ?》


《何!?笑うなら私が見てる時にしろよな!まだ私は君が普通に笑うところを見てないぞ!》


どうしてだろう、やはり、この人達と関わるだけで、僕は温かくなれる。