「責任、取って下さいよ」


「えっ……と?」


色んな感情が入り混じってぐちゃぐちゃになって、その末出て来たのはこんな言葉。


「僕は日の当たらない場所で満足だったんだ。それを貴女が強引に日の当たる場所へ連れ出したんだ。温もりの幸せを教えたんだ」


「……うん」


「僕は日の光には弱い。痛いし、眩しすぎる。でも、そこが温かい事を知らない頃には戻れない。……だから、ちゃんと、責任取って下さい」


こんな言い方で伝わっただろうか。あまりに比喩的で、分かりづらいかもしれないけど、でも、これが僕の精一杯だ。


僕を映すその澄んだ瞳が、じわりと滲んだ。


その正体を確かめる為に赤嶺先輩の顔全体を視界に映すと、そこには涙をボロボロと落とし、徐々に鼻を赤くする姿が確認出来た。


「ちょっと、何故泣く……うわっ!」


困ってあたふたした僕の言葉は、体に密着した柔らかさと温もりによって遮られる。


首に回った細い腕と、シャンプーの香り、それから生暖かく湿る襟元に、僕は赤嶺先輩に抱きつかれているんだと気付かされる。