【完】ヴァンパイア、かなし

でも、それで良い。それで構わない。自分も、赤嶺先輩もこれで守れる。化け物が出て来ることも無いのだから。


「エルザ!」


扉に手をかける手を、赤嶺先輩の叫ぶ悲しい声に遮られて、反射的に振り返る。


「君がそう言っても納得行かない!じゃあ何故、君は幸せそうじゃないんだ!」


君は幸せそうじゃない、か。そんな事はないなんて、否定する事は出来たのに言葉は喉に詰まって音に成ることはない。


代わりにもう一度、自分の何なのか分からない感情を貼り付けた微笑を赤嶺先輩と満島先輩に向け、部屋から出て扉で遮った。


あんな風に言った赤嶺先輩は苦しそうだったけれど、これで今度こそ、もうあの二人と関わる事は無くなるだろう。


それで良い筈なのに、僕の胸の真ん中の、何処なのか分からないところが泣いているような気がした。


僕は、一体どうしたい?どうしたら彼女の言う幸せになれる?


僕は、ささやかな幸せなんて偉そうな事を言ったのに、ちっとも幸せなんかじゃない。