【完】ヴァンパイア、かなし

右に僕、左に赤嶺先輩をひっつかみ、それでも軽やかに走る満島先輩に、僕と赤嶺先輩は顔を見合わせて苦笑い。


「貴女の相方はどれだけ大胆且つ強引なんですか」


「はは、私は十八年間それにずっと引っ張り回されてるからな、それが日常だ」


これまでの僕達とは逆で、先に話しかけたのは僕。ずっと黙っていた赤嶺先輩だったが、僕の声に、パッと表情が明るくなった。


「とりあえず、ここなら誰にもバレずにサボれるかな?」


「お前は昔からそういう無駄な知恵が働くな、荘司」


満島先輩に引っ張られてたどり着いたのは、応援団の部室。確かに、ここなら誰の目にも付くことは無いだろう。


「はー、はは、なんか久々にこんなに走った。エルザは運動苦手とか言ってたわりに、息切れてないな」


当たり前だ。僕はヴァンパイアだ。人間とは基本性能が違う。これくらいのスピードで息を乱したりはしない。


けれど、それを言うことは勿論出来ない。