「かなしい」 「うん。……かなしい」 誰の記憶にも無い、後世に伝わる事もない、ヴァンパイアの少年の生きた物語。 それはありふれていて、ヴァンパイアの種族の中では珍しくもない、風のようにあっという間に吹き抜けた物語だったかもしれないけれど。 それでも、彼を、彼の記憶を無くしても尚愛する人が彼を求めて物語を動かして行く。 幾つもの物語がある中の、この物語は言うなれば。 『悲(かな)しく』も『愛(かな)しい』、それはそれはちっぽけな物語。 【END】