「と、とにかく、僕は大丈夫です。寧ろ、片付けて頂いてこちらが出向かなきゃいけなかったとこなのに」


どうにか納得させようと、普段は殆ど話さないのに早口で言葉を並べる僕に、赤嶺先輩と満島先輩は目が点という言葉が合うくらいにきょとんとしている。


しかし、先に笑い始めたのは、僕より数センチ小さな背丈の満島先輩。


「ぶはっ!固いなエルザは!悪いのはどう考えたって俺等なんだからさぁ、そこは大丈夫ですだけで良いだろー?」


「は、はぁ」


何が面白くて笑っているのか分からないし、それより何より、呼び捨て?ろくに話したことの無い僕を、名字でもなくファーストネームで……!


理解不能だ。ピラミッドの最上層の人間の思考回路は難しすぎる。


「お前は馴れ馴れし過ぎるんだよ!彼が驚いているだろ!」


そんな満島先輩に、赤嶺先輩が鋭く突っ込み背中をバシン、と叩く。


赤嶺先輩の方は良識のある人のようだ。……いや、一年生の教室に堂々といる辺り、そうじゃないのか。