でも、忘れた筈の和真にも、確かにエルザとの温かな記憶が残っている。
脳から記憶が無くなったとしても、電磁波では、想う気持ちや心の痛み、触れた温もりまでは奪えないんだ。
生まれた時からずっと一緒にいた和真が、一人でこんな日陰の場所に自ら行く繊細な奴だったのを俺は知らない。
でも、それは多分、俺の知らない和真とエルザの記憶が、出来事が、和真にそうさせているのだろう。
「なー和真ぁ、お前就職蹴ったって?どうすんの?」
和真の横にすとんと腰を下ろし、いつも通りに軽い口調で話しかける。
「ああ、留学するんだ。学校でそんな制度を見つけてな」
「留学?何処へ?お前英語からっきしだったのに」
何気なく聞いた事の答えは、考えも付かなかった意外なものだった。
「英語圏じゃない。イタリアだよ」
そして、重ねて答えた和真の横顔に、思わず言葉を失って見とれてしまう。
「そこに何か……大切な物があるような気がするんだ。ずっと心にぽっかり空いた隙間にある、何かが……」
なぁエルザ、和真は忘れちゃいないんだ。記憶が無いとしても、お前は和真の中に生き続けてるんだ。
脳から記憶が無くなったとしても、電磁波では、想う気持ちや心の痛み、触れた温もりまでは奪えないんだ。
生まれた時からずっと一緒にいた和真が、一人でこんな日陰の場所に自ら行く繊細な奴だったのを俺は知らない。
でも、それは多分、俺の知らない和真とエルザの記憶が、出来事が、和真にそうさせているのだろう。
「なー和真ぁ、お前就職蹴ったって?どうすんの?」
和真の横にすとんと腰を下ろし、いつも通りに軽い口調で話しかける。
「ああ、留学するんだ。学校でそんな制度を見つけてな」
「留学?何処へ?お前英語からっきしだったのに」
何気なく聞いた事の答えは、考えも付かなかった意外なものだった。
「英語圏じゃない。イタリアだよ」
そして、重ねて答えた和真の横顔に、思わず言葉を失って見とれてしまう。
「そこに何か……大切な物があるような気がするんだ。ずっと心にぽっかり空いた隙間にある、何かが……」
なぁエルザ、和真は忘れちゃいないんだ。記憶が無いとしても、お前は和真の中に生き続けてるんだ。


