とりあえず、荘司先輩に事情を説明しなければ。そう思い、僕は学校へと向かった。
学校へたどり着き、荘司先輩へと電話をかける。いつもは三回と鳴り終わる前に出る荘司先輩が、今日に限って出ない。
慌てと苛立ちで受話を終了し、階段を駆け上がり靴箱へと向かう。
……しかし、そこはこの日の全てが不穏だと言うように、生徒達でごった返していた。
「ねぇ、何が起きているの?」
その人混みを真っ青な顔で離れてきたクラスメイトの応援団員を捕まえて、僕はじっと彼の瞳を見る。
「エルザ……!?お前、動いて大丈夫なのか?」
「ああ、この通り調子は悪くないよ。それより、何が起きているの?」
再度強く今の現状を問いただせば、彼は瞳を右上に泳がせる。
その瞳の動きは、何か嘘を見繕う動きだ。その事を僕は遠く昔に父から教わったから知っていた。
「良いよ。僕が自分で確認する」
「だ……ダメだ!見るな!」
必死で止める彼の腕を力任せに振り払い、人混みの中心へと強引に突き進む。
弱っていても僕はヴァンパイアだ。人間の力に負けたりはしない。
そうしてその『何か起こっている』場所へと到着した瞬間、様々な感情と、体内の胃液が食道を通り口から出てしまいそうな感覚に陥った。


