そこに在る筈の無い物が、僕のベッド脇に転がっているのだ。
この青いクロックスサンダルは、和真先輩が此処へ来た時に履いていた物だ。
在って良い筈がない。だって、このクロックスサンダルの持ち主は此処にいないのだから。
裸足で帰る訳がない。じゃあ何故、ここにこれが残っている?
背筋がぞくっと来た。寒いからだけでは無い、確かな悪寒。
僕は随分久しく、制服のブレザーとシャツをひっつかみ乱暴に着替える。行かなきゃいけないと警告のベルが鳴っているような気がしたからだ。
以前瞳が目立たないように新調した縁の太い眼鏡でなく、長年使い込んだ銀フレームの眼鏡をかけ、クローゼットからPコートを乱暴に掴み、部屋を飛び出す。
「エルザ!?何処へ行くの!ダメよ!」
「離して下さいお母さん!僕、行かなきゃ!この身に代えても、行かなきゃいけないんです!」
物音を聞きつけた母が、僕を想い必死で止めようとしている。それでも、僕は行かなきゃいけない。
悲しそうに顔を歪める母の手をそっと拒み微笑む僕は、やはり世界一の親不孝者なのかもしれないな。
この青いクロックスサンダルは、和真先輩が此処へ来た時に履いていた物だ。
在って良い筈がない。だって、このクロックスサンダルの持ち主は此処にいないのだから。
裸足で帰る訳がない。じゃあ何故、ここにこれが残っている?
背筋がぞくっと来た。寒いからだけでは無い、確かな悪寒。
僕は随分久しく、制服のブレザーとシャツをひっつかみ乱暴に着替える。行かなきゃいけないと警告のベルが鳴っているような気がしたからだ。
以前瞳が目立たないように新調した縁の太い眼鏡でなく、長年使い込んだ銀フレームの眼鏡をかけ、クローゼットからPコートを乱暴に掴み、部屋を飛び出す。
「エルザ!?何処へ行くの!ダメよ!」
「離して下さいお母さん!僕、行かなきゃ!この身に代えても、行かなきゃいけないんです!」
物音を聞きつけた母が、僕を想い必死で止めようとしている。それでも、僕は行かなきゃいけない。
悲しそうに顔を歪める母の手をそっと拒み微笑む僕は、やはり世界一の親不孝者なのかもしれないな。


