【完】ヴァンパイア、かなし

ボロボロ泣いていた和真先輩だったけど、僕の動きにくすぐったさを感じたのか、やがて身じろぎクスクスと笑い始める。


「笑ってくれた」


「ふふ、君は私が笑うと笑ってくれるな。これじゃあ、泣いていられないや」


額と額をぶつけて互いに笑い合う、この瞬間を幸せ以外に何と呼べば良いのだろう。


「和真先輩、そろそろ……良いですか?」


「ああ。一つになろう。君と私。心も、身体も、全て溶け合って」


きっと初めてで不安だらけだろうに、いつでも和真先輩は僕を安心させようとしてくれる。


この人には適わない。死ぬまで、死んでも、適うことは無いのだろう。


「痛く、ない?」


「うん。聞いていたより。……君が、私の中にいる。これがこんなに幸福な事だなんて、君と出会わなければきっと知ることは無かったんだなぁ」


僕もそう思う。和真先輩と出会わなければ、この苦しさも、痛みも、それすら愛おしく思える幸せを知ることは無かっただろう。


肌寒い夜、貴女と僕とが溶け合い一つになった日、僕が朽ち果て、貴女の記憶も共に朽ち果てるそれまでは、二人だけの、幸せの記憶。