笑顔だった和真先輩だが、数秒僕を見つめると、まるで子供のように僕の首に腕を巻き付け、ぐりぐりと額を胸に押し付けて来た。


「どうして私に会ってくれなかったんだ、エルザ」


「……だって、痩せたし、見た目もこんな風になったし、恰好付かないでしょう?」


「そんな事ない!君は元が良いから、ヘチマみたいな肌が少しゴーヤのようになっただけだ!ゴーヤも美味いぞ!」


本当はどう思っているのかなんて分からないけど、気味が悪いとか、可哀想だとか、そういう感情は多分彼女には無くて。


彼女は優しいけど、嘘はつかない。いつだって真っ直ぐで、辛くないのかなって思うくらいに素直なだけ。


「会えて良かった」


その、僕より細いのに不思議と柔らかな腰に腕を回せば、和真先輩の首に回った腕の力も増す。


こうして抱き締め合っているうちにどろどろに溶けて、いつの間にかひとつになってしまえれば幸せなのに。