【完】ヴァンパイア、かなし

戻ると忙しさは少し引いており、教室の中は落ち着いていた。


「おーい、エルザそのまま休憩!行こうぜ!」


「え、でもまだ休憩の時間じゃないよ。それに、行こうって?」


戻って早々に応援団の男子に捕まった僕は、戸惑いつつも彼に問う。


すると、彼は人懐っこい笑顔を向けて僕の肩をぐいぐい押して、教室の外へと導いた。


「もう体育館、プロデュース企画始まってるだろ?赤嶺団長と満島副団長の番、間に合うから」


そうか。和真先輩と荘司先輩の文化祭の大きな出番の一つが始まろうとしているんだ。


「うん……それじゃあ、僕も行きたいかな」


「おっし!まあ行かないって言っても連れてくけどな!副団長にお前連れてくの頼まれてんだ」


先輩命令には逆らえないらしい彼は、苦笑しつつもどこか楽しそう。


もし、僕が自分から変わらなかったらステージに立っていたかもしれないだなんて、何だか不思議な気分だ。


「言ってたぜ副団長。『僕がプロデュースして貰ってモッテモテになれば良かったー!』って、エルザ悔しがらせるんだって」


「はは、今の結構似てた。絶対言わないから大丈夫だよ」


言わないけど、でも、二人に変えて貰える人は、羨ましく思う。


だって、あの二人の優しさと温かさを、近くで知ることが出来るのだから。