【完】ヴァンパイア、かなし

「エルザー!ほら、写真撮るぞ!せっかく君は和服で私ははっぴ、荘司は奇妙なメイドなんだから」


「い、嫌です!しかも懐かしのインスタントカメラ!」


「バカヤロー、記念撮影はデジタルよりアナログに決まってるだろ?あ、写真お願いねー」


荘司先輩が持って来たらしいインスタントカメラを、お客さんの女の子に渡し、僕の肩を右からがっちりホールドする。


そして、左隣には和真先輩が並び、ごく自然な流れで僕の腕に自らの腕を絡めた。


ドクン、ドクンと重たく心臓がポンプして、僕の中の化け物が、彼女を食らいたいと叫び出す。


静まれ。出てくるな。僕は化け物じゃない。君は僕の中で朽ち果てろ。


「それじゃあ行きまーす。はい、チーズ!」


女の子が構えたカメラに、和真先輩と荘司先輩が満面の笑みを向けてピースサインをするのが分かり、僕も、ゆるゆると口角を上げた。


思い出が、写真のようにどんどん残る。空っぽだった僕の体中が、思い出で埋め尽くされる。


こんな幸せが永遠に続けば良いのに。なのに、僕の体は思い出が重なる度に朽ちて行く。


化け物共々、朽ち果てる運命なのかもしれない。