文化祭が開催されてからは、何も考えられない程に時間が過ぎる。
明治茶屋と銘打ったうちのクラスの喫茶店は、思いの外盛況で。
藍色に白のブロック柄の着物に袴を合わせたスタイルの僕の和服は、生まれて初めて着る和服で、思うように体が動かない。
学生帽を頭に乗せて白金の髪を隠し、黒のタートルネックのインナーでミミズ腫れと白い肌をカバーしても、僕にはあまり似合っているようには思えないが、客受けはそこそこのものだ。
「悪い!休憩の前に最後これ運んで!」
「分かった」
渡された餡蜜と緑茶を二つずつ、木製のお盆に乗せてテーブルへ運んでいたが、思わずテーブルへたどり着く前に足を止めてしまった。
「おいおい、あからさまに嫌な顔すんなってー」
そこには、ジャージ姿の荘司先輩と、今朝のはっぴ姿のままの和真先輩。
「へぇー、エルザかっこいいじゃん」
「荘司先輩はあの奇妙なスカート姿ではないのですね」
ふにゃふにゃへらへらと笑う荘司先輩に、いつも通りの対応をしても、表情は変わらない。
「俺午後からと明日の午前中担当なんだー。応援団は出し物じゃなくて風紀委員の手伝いで見回りだからまだジャージ。期待した?」
「しません。……はぁ、和真先輩もそこの人に何か言ってやって下さいよ」
もう荘司先輩に何を振っても勝てる気がしないので和真先輩に会話を振ったが、僕は黙り込んだ彼女に思わずお盆を落としそうになる。
何故なら、和真先輩は僕を丸々とした目で凝視して固まっているからだ。しかも、頬と耳を真っ赤に染めるというおまけ付きで。


