【完】ヴァンパイア、かなし

和真先輩は少しの間僕をじっと見つめると、くしゃと顔を崩して、満面の笑みを僕に向ける。


「君は自力で変わったじゃないか!私達のプロデュースなんて必要無い。違うか?」


「ち、違いません」


僕の答えに満足したらしい和真先輩は、それ以上は何も言わず、再び僕へ背中を向けて手を振って遠ざかって行った。


「何て男前な人だ」


彼女と共にいる時は、クラスメイト達とも、荘司先輩とも違う温かな感情に呑み込まれる。


でも、心の奥が痛い。蝕まれた体より、ずっとずっと痛いのだ。


ぎゅっとカッターシャツの胸元を握り締めてそれを和らげると、僕は呼吸で肺の空気を入れ換え、僕を必要としてくれている場所へと歩き出す。


プロデュースなんて、彼女の言う通り必要無い事かもしれないけど、痛くても、僕には彼女が必要だ。何故だか、心がそう叫ぶ。きっと、叫ぶからこそ痛い。