あたしが翌朝目を覚ますと、あたしの首に冷たいものが触れていた。

「おはよう」

 綾が姿を現し、微笑む。彼女の手はあたしの首筋に添えられていた。

 綾は屈託のない笑顔を浮かべている。


「あなたが起きないから、拓は仕事に行っちゃったよ」


「手、どうするつもり?」


 綾の手があたしの喉に触れ、すーっと冷たい感覚を残していく。


「なんとなく。はるかの首筋って綺麗よね」


 彼女は間を置いて話を続ける。


「細くて、華奢で、ちょっと力を込めたらどうなるんだろうね」


 綾は無邪気な子供のような笑顔を浮かべていた。