「綾の分も幸せになろう」

 拓の手があたしの手に触れた。

 彼の手も美智子よりも温かく、人を安心させるような声だった。

 綾の分まで幸せになろう。あたしたちはそう心に誓った。

 勝手にそう決めたのだ。




 彼女が

 そんなことを望んでいたかどうかなんて分からないのに。