ずっと[短編]


 今から考えるとその後でも彼女に言えばよかったのかもしれない。

 万が一、彼女に罵倒されても、叩かれても彼女を思えば口にできたかもしれない。

 多分、あのとき謝れば、今とは違う結果になっていただろう。

 でもあたしは逃げたのだ。

 彼女に直接彼の話をすることはなく、ただ結婚するとだけ言った。


 何も知らない彼女は

 まるで自分のことのように

 嬉しそうに微笑んでいた。