陽だまりをくれたきみが好き。



緊張からか、言葉がたどたどしくしか出て来てくれない。


情けない……。



「麻衣ちゃんね?おっけー」



……ま、麻衣ちゃん!?


まさか下の名前で呼ばれるなんて、思ってもなくてビックリした……。


たったそれだけでも距離感が近いような気分になる。


勘違いしちゃ、ダメだ……。


こんな可愛い子が、私に話しかけてくれるなんて、そんなこと。


今日のこれが最後なんだから。


むしろ最後であってほしい。


明日にはいじめに変わるかもしれないから。


いじめられるぐらいなら、話しかけられない方が……ずっといい。



「麻衣ちゃんってテレビとか見る?」


「あ、あんまり……」


「そっか!雑誌は?」


「それも、あんまり……」



音楽室までの道のり。


笠原さんからの質問攻めに戸惑いながらも答えて行く。



「なにお前ら仲良かったんだ?」



並んで歩いていた私たちの隣を追い越して話しかけて来たのは早瀬くんだった。



「そう!友達!」



私の腕をがっちりホールドして、早瀬くんに微笑んで見せる笠原さんにぎょっとして目を見開く。


え?……と、友達……?