「ねぇねぇ」
「……!?」
大きくて羨ましい二重の瞳が私を見てる。
……笠原さんに話しかけられるなんて思ってもみなくて、すごくビックリした。
「次ってなんの授業なの?」
「あっ、えっと、音楽室に移動教室、デス」
「そうなんだぁ」
……神様って、本当に不平等だよね。
笠原さんって声まで可愛いんだ。
完璧すぎて、目の前にいる私の存在が、恥ずかしい。
消えて、しまいたい……。
どうして私はこんなにみにくいんだろう……?
どうして目の前にいるこの人と私はこんなに違うの……?
不意に泣きたくなってくちびるをクッと噛む。
嫉妬したって、なにも変わらないのに。
「もし良かったら音楽室まで一緒に行ってくれない?」
「えっ……?」
「実は音楽室の場所がよくわかんないんだよね」
お茶目に上目遣いで笑った笠原さんにまたビックリしながら「わ、私で……よければ……」と返事をした。
断る理由なんて……ないし……。
「ホント?ありがとぉ〜っ。あっ、私、笠原玲香。あはたは?」
「あっ、えと……っ、川口麻衣、デス」



