ふと、甘い香りが鼻をかすめる。


ぶつかったその人を見ると不機嫌そうに眉間にシワを寄せて……。



「ちゃんと前見て歩け、バカ」


「……っ……」



浴びせられた罵声。申し訳なく彼を見ると、彼の容姿に目を奪われた。


高い身長。

筋の通った鼻に、薄い唇。

蜂蜜色の、金髪。


男の人なのに、すべてが計算つくされたように美しい。


うっとりしそうになって、慌てて頭を下げた。



「ご、ごめんなさいっ……」



不機嫌な彼はチッと舌打ちをして、冷たく私の横を通り過ぎると、歩いて行ってしまった。


……すごい。

あんなかっこいい人、見たことない。


早瀬くんもかっこいいなぁとは思ってたけど、彼はさらに群を抜いてイケメンだった。


世の中には、あんな神様に好かれたような人も、いるんだなぁ。


性格は、すごく意地悪そうだったけど。


……でもやっぱりいいなぁ。


顔のつくりに恵まれている人はやっぱり羨ましい。


私も、もともとの顔が可愛かったらまた違う人生を歩んでたんじゃないのかな……。