こんな私でも、変われることが、わかったから。


知らなかった世界が広がった気がした。



「チークはオレンジの方が大人っぽくなるわよ。シャドウは茶色使おっか」


「……す、すごいね、笠原さん」


「そりゃあ、プロだからね」



得意げに笑った笠原さんの笑顔につられるように、私も、笑った。


……あんなに緊張していたのに、今は笠原さんといるのがこんなにも楽しい。


ニセモノでも、

つくりものでも、


目の前の自分が、さっきまでのブサイクで根暗でキモい自分じゃなくなって。


……心まで、明るくなったみたい。


まるでそれは魔法だった。



「いい顔で笑えたね」


「え?そ、そうかな……」


「そうだよ!つくりものでも、美しいほうが、絶対にいいんだから……!」



私の手を取って、微笑む笠原さんに「うん」と、精一杯の同意でうなずいた。