……不思議な、感覚。



「アイラインは猫目を意識!目尻を1cmぐらいはみ出すぐらいに描いたらそのあとこめかみに向かって自然にはねさせるの!」


「う、うん!」


「左右対称にね。右と左で違ったらみっともないから」


「わかった!」


「ノーズシャドウはこの色がオススメだよ」


「へぇ……」


「つけまつげはコレ。ナチュラルだけど盛れるの」


「も、盛れる……!」


「グロスはたっぷり塗りましょ。色気が増すわよ」


「色気……!」



笠原さんのスパルタなメイク術をなんとか習得した頃の私は、もうまるで私ではなかった。


……どこの高校生?

って、言いたくなるぐらい私じゃなくて。


それが私にはすごく、すごっく、

……嬉しかったの。