顔をあげて、笑って見せた。
「見てらんねー。おい、亮太!はやく玲香追いかけろ」
「は、なんで俺が……」
「バッカじゃねぇーの?お前の鈍さには本気で呆れる。いいから、行けよ」
目線をはずして、意地を張ったようにその場から動かない早瀬くんに、
内田くんが怒ったように胸ぐらを掴む。
内田くん……!?
「お前なぁ!ふざけんなよ!?自分のキモチにもあいつのキモチにも鈍感になってお前は気づかねぇーからいいかもしらねぇけど、あいつはなぁ…!」
と、そこで言葉をやめた内田くんは悔しそうに早瀬くんを突き放した。
「だから俺はおめぇがキライなんだ…っ」
「……意味、わかんねぇよ」
「わからなくていい。玲香のところには俺が行く。だからーー」
だからーー。
「お前は死んでも川口を泣かすなよ」
そう言って教室を出た内田くん。
今の会話……全然意味がわからなかった。
玲香ちゃんのキモチ?
早瀬くんのキモチ?



