夢のような恋だった



「ねえ、紗優ねえちゃん、もう一度会ってみたら?」

「ダメだよ。……無理」

「なんで?」

「私もう、別に彼氏いるし。……その、智くんだってそうかもしれないじゃない」


先日偶然会ったことは、琉依ちゃん知らないんだ。
智くんはきっと誰にも話していないんだろう。

私のことなんて過去だから。
智くんには思い出したくもないことだったかもしれない。


「えー? そうかなぁ。確かにこの間スッゲ落ち込んで帰ってきた日はあったけど。いたかもしれないけど振られたかもよ」

「琉依ちゃんってば」


バッサリ言い捨てる琉依ちゃんにおかしくなって、少し口元が緩む。

智くんと琉依ちゃんたちの関係もあんまり変わってないのかな。
いつも琉依ちゃんが一番強くって好き勝手しているようだったけど、智くんはそんなに嫌そうでもなかった。
なんだかんだと琉衣ちゃんと壱瑳くんのことは凄く可愛かったんだろう。


「でもそっか。紗優ねえちゃんにはもう過去か」

「え?」

「彼氏居るんでしょ? どんな人? 格好いい?」


身を乗り出して聞いてくる琉依ちゃん。

そうか。
傍目にはそういう風に映るんだ。

私にとっても智くんは過去……?
でもだったら、どうしてこんなに頭のなかは彼で一杯になってるの?

琉依ちゃんは草太くんのことを、なんとかして聞き出そうとしてくるけれど、自分が酷く悪いことをしているような居心地の悪さばかり感じて話したくない。