夢のような恋だった


でも実際大学に入ると、意外と忙しい。

特に一年の時は、一限から四限までびっちり講義を入れていたし、サークル勧誘も激しくて。

上手く断れない私は、見学だけでもという言葉に乗せられて色んなサークルから呼び出されるようになっていた。

結局四月は夜も土日も忙しくて、智くんとのデートの時間はほとんど作れなかった。


これではダメだと思って、自分の好みを優先して文芸サークル一本に絞ったのが五月。
ゴールデンウィークには落ち着いてきたのだけれど、その頃は智くんが大会で忙しかった。

ずっと電話はしていたけど、会わずにいたその一ヶ月の間、智くんはとても不審に思っていたらしい。

そのころから、彼の態度は少しずつぎこちないものに変わっていった。


その後も、急な飲み会や彼の知らない男友達から電話には、特に過敏に反応された。

ちゃんと説明したつもりだったけど、まだ大学というものを知らない智くんには納得のいかないところが沢山あったんだろう。

それでも、いつかは元に戻ると思っていた。私を信じてくれるって。
 

やがて夏になり、智くんのほうが志望校を決めなきゃいけない時期に入る。

彼の志望は、私が通う若葉大学だった。

私はそれを聞いて安心したし、彼も笑ってた。

互いの間のぎこちなさが砕けてきて、また一緒に通えるねって語り合ったりもした。