夢のような恋だった


「私、壱瑳が好きなのかなぁ」

「え?」


思わず素っ頓狂な声で問い返してしまった。
琉依ちゃんは顔を真っ赤にして続ける。


「お願い。笑ったり嫌がったりしないで。私だって真剣なの」

「分かってるけど。だって壱瑳くんは」

「双子だよ。私達迷うことなく姉弟。
でもさ、仕方ないじゃない。私の事誰より分かってくれてて、一緒にいると楽しくて嬉しくて安心するの。
兄弟だから? って思ってみたけど、お兄ちゃんにこんな気持ち持ったことない」


智くんの事が出てきて、私は一瞬ぎくりとした。
でも琉依ちゃんは構わず自分の話を続けた。


「高校に入ってから、壱瑳の様子がおかしくなったの。なんかよそよそしいっていうか、一緒に居たがらないっていうか。
友達に言っても、『もう高校生だし姉離れじゃない?』って言われちゃってちっとも真剣に聞いてくれないし。私、悲しいしイライラするしもう最近最悪で」


琉依ちゃんの表情がクルクル変わる。


「むかついてたら今度は彩治に呼び出されて告られて……でしょ? もしかしてこのせい?って思っちゃって」

「うん」

「彩治が悪い訳じゃないのに、結構酷いこと言って断っちゃったんだよね。そしたら、壱瑳も私の事怒るし。
なんかもう嫌になって、……そんで、ここに来た。……ごめんね、六年も音信不通だったのに」


シュンと肩を落とした琉依ちゃんの背中を撫でる。