夢のような恋だった



「ビックリしたよ。私、サイちゃんとそういう話したことなかったし。
琉依ちゃんとサイちゃんずっと友達だったじゃない。なんで今頃急に?」

「うーん。身長がどうとか。彩治、私より背が低いのずっと気にしてたから。
高校入って初めて身長抜かせたから勢いづいたとか何とか言ってた」


先日、身長のことで大喜びしていたサイちゃんを思い出す。
俺の時代……来なかったんだね、サイちゃん。


「そっか。でも仕方ないね。琉依ちゃんは他に好きな人いるんだ?」

「それを相談したくて来たんだよ、紗優ねえちゃん」


琉依ちゃんは先程までの勢いを失って俯いた。

頼ってくれるのは嬉しいけど、琉依ちゃんには友達とかも沢山いそうだし、何より一番分かってくれる双子の壱瑳くんがいるのに。


「どうして私に?」

「うん。他の人に言えない。親も兄弟もダメ。友達ももちろんダメ。……そうしたら紗優ねえちゃんしか思いつかなかった」

「……話してみてよ」

グラスの中に残った氷が、カランと小さく音を鳴らす。
私が見つめ続けていると、琉依ちゃんはとても話しづらそうに、だけどポツポツと話し始めた。