夢のような恋だった



 琉依ちゃんは初めて見る私の部屋に興味津々の様子で、入ってすぐから周りをまじまじと見つめた。

とりあえずはご飯かな。私もお腹すいたし。


「琉依ちゃん、夕飯食べたの?」

「……食べてない」

「じゃあ半分こしよ」


私はお皿に冷やし中華を半分ずつ分け、お茶をついだ。

琉依ちゃんは膝を抱えたまま、それを黙ってみている。

私が向かいに座ったのを見て、ようやくバツが悪そうに呟いた。


「……ごめんね。急に来て」

「ううん。でもビックリした」


私は笑いかけながら、食べよ? と促す。

「うん」と、琉依ちゃんもモソモソと食べ始める。

コンビニのお弁当は大概味が濃いけれど、疲れている時にはこれが美味しいと感じる。
忙しいと不健康になるようにできてるんだなぁ。

それにしても、どうして私のところに来たのだろう。
サイちゃんを振ったからって、普通その子のお姉さんに相談することはないだろうと思うんだけど。

だいたい食べ終わったかなって頃を見計らって、そっと聞いてみる。


「サイちゃん、振られちゃったんだ」

「うん。ごめん」


あっさりと流される。
うーん。サイちゃん可哀相に。