夢のような恋だった


「琉依ちゃんだよね。すごく久しぶり」

「紗優ねえちゃん」


予想外に、琉依ちゃんは心底困ったような顔をしていた。

私の印象に残っている琉依ちゃんは、凄く活発で元気一杯な子だったから、こんな表情をされたことが凄く意外で心配になる。


「どうしたの、琉依ちゃん」

「……どうしよう、私」

「え?」


耳を近づけて、小さく呟く彼女の声を拾う。


「……彩治をフッた」

「は?」


思わず二度聞きしてしまう。

サイちゃんがなんだって?


琉依ちゃんは真っ赤になった顔を上げると、泣くと怒るの中間くらいの表情で、叫びだした。


「だからぁ! 彩治に告られてフッたの。ねぇ、どうしよう紗優ねえちゃん」

「どうしようって、どうしようも無いんじゃ。……とりあえず中にはいろ?」


大音響にびっくりして、私は慌てて部屋の鍵を開ける。

やっぱり琉依ちゃんはあんまり変わってないかも、なんてちょっと安心しながら。