「琉依はあんな風だけど重度のブラコンよ。智を適当に扱うような人間のところを逃げ場には選ばないでしょ。それに、あなたには話していたんでしょ? 私には言えないような悩みを」
おばさんがが、ゆっくりと蓋を撫でる。
淡々として、……でも寂しそうで。私は焦って言った。
「琉依ちゃんは、おばさんが大事だから言わないんです。大事な家族だから。分かってあげてください」
「まあ、大方想像はつくけどねぇ」
お茶をカップに注ぎながらおばさんは目を細めた。
「仲良すぎたし。智がいなかった四年間は琉依、余計壱瑳にビッタリになっちゃって」
「おばさん」
「でも大丈夫みたいね。随分頼りになりそうなナイトが二人もついてるみたいだし?」
サイちゃんと絆くんのことかな?
なんとなく、絆くんのほうに軍配が上がりそうだけど。
「……つまらないわね。ついこの間生まれたと思ってたのに勝手に大きくなっちゃってさ」
全てのお茶を入れ終わり、おばさんは小さなお盆に載せれるだけのカップを載せた。
「勝手には大きくなってないです」
私は残りのお茶碗を手にもった。
「智くんがあんな風に真っ直ぐなのは、多分おばさんのお陰です」
おばさんは一度チラリと私を見ると、先に立って歩き出す。
「お世辞?」
「本気です」



