夢のような恋だった


お母さんは私をキッチンに引きこむとこっそりと告げた。


「実はね。お父さんこの間から住宅情報を調べていたのよ?」

「え? どうして?」

「智くんと付き合ってるなら落ち着くのも直ぐだって。あわよくばここの近くに住ませたかったみたい。……気に入っているのね、彼のことは」

「そっか。良かった」


真剣な顔でお父さんと画面を見つめている智くんに、感謝の気持が湧き上がる。

ありがとう。
私の家族とも仲良くしてくれて。

真剣に向き合ってくれてありがとう。

私も頑張るから。
おばさんに、ちゃんと認めてもらうからね?



 三十分位たって、和やかな歓談を切り裂くように携帯の呼び出し音が鳴った。


「あ、俺だ」


鳴っているのは智くんの携帯で、かけてきたのはおばさんのようだ。


「もしもし? なんだよ、母さん。……は? 琉依が?」


琉依ちゃんの名前に私も反応する。
途中で智くんの様子が真剣になったのも気になった。


「うん。で、壱瑳は? いる? じゃあ替わって。……壱瑳か? どういうことだ」


声の様子から緊迫した状態なのは分かる。何か悪いことがあったのかな。