夢のような恋だった


ライバルって言葉で、ふと草太くんと茂くんの関係を思い出した。

互いに意識し合いながら、いつだって茂くんを下に扱う草太くんと、反発しつつも言いなりになる茂くん。
あの二人も、どこかで判断を間違ったから、あんな関係になってしまったのかしら。

智くんは、違うんだ。
お父さんがどれだけ彼の上を行っていても、まっすぐに向かっていこうとしてくれる。


「……格好いいね。智くん」

「は? なんだよいきなり」


急に体を離される。
真っ赤になって、私から目をそらすのは照れているからかしら。


「だって。本当にそう思ったんだもん」

「と、とにかく、おじさんたちにも挨拶しなきゃ。今度の日曜行ってもいいかな」


智くんは仕切り直しをするように、ゴホンと咳払いをした。


「今度? 急だね」

「言ったろ。一人にしておくのが心配なんだ。早いほうがいい」


嬉しいけれど、凄くポンポン話が進む。
超特急のジェットコースターに乗っている気分。

その速さに少し不安にもなるけれど、彼とだったらそれに乗って楽しんだほうがいい気がする。

フルスピードで、離れていた距離を埋めよう。
手をつないで、ずっとずっと先まで一緒に。