夢のような恋だった



「俺と、一緒に暮らして欲しい」

「……え?」


私は一度まばたきをした。
一緒にって。……一緒に?


「まだ働き始めたばっかだし、結婚して欲しいとかそこまでは言えない。でも、あんなことがあったし、心配なんだよ。紗優を一人にしておくのは」


智くんは一気にまくしたてた。でもそれもちゃんと頭に入らないほど、私の胸はドクンドクンと脈打っている。


「ここじゃなくてさ。もう少し広いところ借りて。二人で出し合えば家賃もなんとかなると思うし」

「それって同棲ってこと?」

「うん。……まあそういうことになるかな。嫌?」


智くんは申し訳無さそうに私を見あげるから、そんなことないよと首を振った。


「……もちろん、金溜まったら結婚したいって思ってる」


真剣な顔で言われて、胸がキューって苦しくなる。
嬉しくても、胸って痛くなるんだ。


「私でいいの?」

「紗優じゃないとだめ……ていうか。俺、今まで紗優以外を好きになったこと無いから、紗優に振られたら一生独身な気がする」

「まさか」

「ホント。自分でも信じがたいけど」


でもよく考えたら、私も智くん以外に付き合った人は草太くんだけだ。
その草太くんのこともちゃんと好きだったかと言われればよくわからない。

私も、人生の大半が智くんで構成されてるみたい。