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翌朝、私はアパートに戻ることにした。
実家の居心地が悪いわけでは無いけれど、やはり一人のほうが仕事が捗る。
シナリオは順調に書き進んでいて、来週には山形さんに見せれそうだ。
もちろん、出した後で直し指定が来るのでまだまだ終わりは見えないのだけど。
【今日はそっちに行くから】
智くんからのメールにすっかり安心して、戻りがけに買い物をする。
今日は本屋のバイトも休みだから、少し部屋の片付けもしよう。
部屋に戻ってすぐ、絵本の方の最終チェックを済ませ、同時にシナリオの進捗について山形さんにメールで送る。
その後、部屋を片付けながら草太くんとの思い出があるものを思い切って捨てた。
クッションだったり、彼が好んで使ったコップだったり些細なものだけれど、それが無くなることで草太くんの気配が消せたような気がしてスッキリした。
そして夜、二十時を回った頃にやってきた智くんは夕飯を食べたあと、真面目な顔をして私に座るように言う。
「智くん? どうしたの」
「んーとさ。……ん。話があるんだけど」
「なに?」
「引かないで欲しいんだ。急なこと言ってるのは自分でも分かってるんだけど」
「だから何?」
智くんは凄く真剣な面持ちで、それでも肝心なところはハッキリ言わずに私が座るのを待った。
目が泳いでいるところを見るとそんなに言いにくいことなのかな。
じっと見つめていると、やがて彼は意を決したように大きく深呼吸をした。
翌朝、私はアパートに戻ることにした。
実家の居心地が悪いわけでは無いけれど、やはり一人のほうが仕事が捗る。
シナリオは順調に書き進んでいて、来週には山形さんに見せれそうだ。
もちろん、出した後で直し指定が来るのでまだまだ終わりは見えないのだけど。
【今日はそっちに行くから】
智くんからのメールにすっかり安心して、戻りがけに買い物をする。
今日は本屋のバイトも休みだから、少し部屋の片付けもしよう。
部屋に戻ってすぐ、絵本の方の最終チェックを済ませ、同時にシナリオの進捗について山形さんにメールで送る。
その後、部屋を片付けながら草太くんとの思い出があるものを思い切って捨てた。
クッションだったり、彼が好んで使ったコップだったり些細なものだけれど、それが無くなることで草太くんの気配が消せたような気がしてスッキリした。
そして夜、二十時を回った頃にやってきた智くんは夕飯を食べたあと、真面目な顔をして私に座るように言う。
「智くん? どうしたの」
「んーとさ。……ん。話があるんだけど」
「なに?」
「引かないで欲しいんだ。急なこと言ってるのは自分でも分かってるんだけど」
「だから何?」
智くんは凄く真剣な面持ちで、それでも肝心なところはハッキリ言わずに私が座るのを待った。
目が泳いでいるところを見るとそんなに言いにくいことなのかな。
じっと見つめていると、やがて彼は意を決したように大きく深呼吸をした。



