夢のような恋だった



「大丈夫。遅くても何でも、智くんがいいの」

「……おい、それは超特急で駆けつけた俺に失礼じゃないか」


草太くんと茂くんにお説教しながら、聞き耳を立てていたのかお父さんが突っ込む。


「とにかく、今度紗優に何かしたら本気で訴えるぞ。お前たち、住所と名前と連絡先をかけ、それから、もう二度と紗優には近づかないって文書もだ」

「おっさん、しつけぇよ」

「それともいますぐ警察に突きだされたいか。
分かってないようだから言ってやるが、今回の件は婦女暴行未遂と脅迫罪が適用出来る。彩治がもっているという証拠と一緒に出せば完璧だ。お前らは、おそらく会社も首になり、路頭に迷うんだ。お先真っ暗だな」

「か、勘弁してくれよ」

「犯罪の結果がどうなるか想像くらいするんだな。もう二度とこんなことするな。約束するなら今回は容赦してやる。でも、少しでも反省のない素振りを見せたら俺は警察にお前らを突き出すぞ」


お父さんは二人に手帳に連絡先を書かせて、更に私に確認させる。
携帯の番号と照らしあわせて頷くと、「いいか? 紗優。逃しても」と確認する。


「うん」

「おじさん、待って」


止めたのは智くんだった。
私をサイちゃんに預けて、智くんは草太くんににじり寄る。