夢のような恋だった


「こんなこと、……犯罪だからね?」

「違うだろ。同意なら犯罪じゃない」

「どこが同意なの!」

「紗優がそうだって言えばいいだけの話だ」

「おいっ、草太……っつ」


その時、足音とともに茂くんの叫び声と地面に転がった衝撃音がした。

大きな影が私達の方に近づくのと同時、のしかかっていた草太くんの重さが無くなる。


「紗優を離せ、若造」


茂くんを殴りつけ、私から草太くんを引き離したのはお父さんだ。


「ねーちゃん、無事?」


後ろから走ってきたのはサイちゃん。
腕を引っ張って私を起こすと、自分のシャツを脱いで私にかけてくれる。


「お父さん、……サイちゃん」

「悪いけど言っちゃったよ。今はとーちゃんが一番動けそうだったから」

「俺の娘にいたずらしようなんてイイ根性だ。ヤラれたいのはどっちだ」


指をポキポキ鳴らしながら、お父さんは草太くんと茂くんに凄んでみせる。

身長で言えばそんなに変わるわけでもないのに、お父さんは凄い威圧感で、あんなに強気だった草太くんがタジタジになる。