俺には疑問符しか浮かんでこず、ただ先輩を見る事しか出来なかった。 「そんなに見られるとテレるでしょ?早く教室入らなきゃ。」 「あっ…すいません…。」 「ふふっ。いいよ。ほら、早く入って?」 そう言って踵を返し、スタスタと元来た道を戻る先輩。 「…はい。あの…ありがとうございました。」 振り向かずに「またね。」と言ってヒラヒラと後ろ手に手を振られた。 俺は「またね。」と言われた事を然程気に留めずに音楽室へと入った。