家から少し離れた地点まで歩き、見送りをしてくれていたご夫婦の姿が見えなくなった頃。 鞄の中から、沖田は顔をのぞかせた。 「あー息苦しかった」 『お疲れ様です』 ストッと鞄から出ると、ブルブルッとシャンプーをした後の動物のように体を揺らした。 『そうだ、自己紹介してませんでしたね。私の名前は鄙森音波。お察しの通り現役の陰陽師です』 「そう、よろしくね音波ちゃん」 沖田は音波の横を歩きながら、音波の顔を見上げた。