「そんな時、この家のおばぁちゃんに拾われた。瀕死の僕を助けてくれた」 その日から、僕はここで暮らすようになったんだよ、と当時を懐かしむような優しい声で沖田は言った。 『お婆さんの亡き今も、この家が大切だから、ここに留まって暮らし続けているの??』 首をかしげる音波に、沖田は首を振った。 「僕はこの家が大事じゃない。おばぁさんが大事なんだ。……家を取壊されようが、僕はどうでもいい」 やっている事と言っている事が矛盾している。 音波は、じゃあどうして、と呟いた。