咲谷さんのご主人の車に乗せてもらい、工事が休止した家に向かった。 着いた家は、工事途中なだけあって少し壁が崩されていた。 ブルーシートで一部を覆われた家の前に立つと、音波は後ろを振り返った。 『それでは、行って参ります』 「それじゃあ、私はここで待っています」 咲谷夫婦は、車の外に出てお辞儀をした。 『いえ、あなた方はお帰りいただいて結構です。何があるかわかりませんから』 依頼主を危険な目にあわせるわけにはいかない。家の外だったとしても何が起こるかわからないからだ。