「取壊し工事をしていた人たちが、相次いで怪我をなさって、取壊し工事が中止になったんです」 重々しく言う咲谷さんのご主人に、音波はそうですか…と頷いた。 『その怪我をされた方の傷が、引っかき傷のようなものだったそうですが』 「はい。何人もそんな人が出てしまい。工事会社も匙を投げてしまって……」 『わかりました。調査してみましょう』 聞く限りでは、ただの事故というわけではなさそうね。 音波は、ギュッと退魔の剣を握った。