「「………解除」」



私と春美は同時に言った。



その瞬間に、私についていた漆黒の翼と、春美の翼が消えた。




「千草?」

「え?……あ、ううん!なんでもない!
………透気騙しを使おう。春美はもちろん…」

「使えるし、それぐらい!
……透気騙し」

「透気騙し」



私と春美は足からどんどん消えていった。

透気騙しを行った同士は、うっすらだけど相手が見える。

でもはっきり言ってそれはダメ。

相手がこの魔法を使っていたら…バレる可能性がある。

でもこれなら、相手が魔法を使っていない限りバレない。


私たちは今、敵の本拠地…サンプラインに『そっくり』な建物の前にいる。

色が全体的に黒いけど。

威圧感がすごい。


私は春美を見る。かろうじてだけど、見える。

春美が頷くと、私は右足を前に出した。