「あれ?千草!
それに……えと、武藤さん?」

「あ、はい……」


ドアから1番乗りで出て来たのは夢奈。

けど、春美は下を向いて…私の接し方と全然違う。

少し顔を上げた春美と目が合う。


そしてわずかに口を動かした。

『ごまかして』



……えぇぇぇ


ま、確かにね?春美と夢奈が仲良くなるのは後々なんかありそーだし、ごまかす方がいいんだろうけど…


「千草?」

「あ、なんでもない。ちょっと、武藤さんと森で迷っちゃって…
で、なんか魔法が誤発動しちゃってさ帰れなくなって」

「千草って方向音痴なの?」

「う、うん……」


「ふーん」と夢奈は言った後、武藤さんに向かって笑顔で手を振る。

さすが夢奈。

性格、いいなぁ。


「じゃ、バイバイ武藤さん。
千草、一緒に行く?」

「うん。行こうか」



私は少し春美を見たけど、春美は私に少し頷いて見せるだけだった。

夢奈は相変わらずの笑顔で授業のいろいろなことを話してくれる。



「あれー?千草じゃん!」

「……初日からサボリ魔になったね」

「お前、余裕だからって…」


大樹と冷夜、そして吟が私たちを後ろから気づいたっぽい。