「………」
「黙り込むなよ、前園。
あ、もしかして…何か怒った?」
「怒ってない…。ただ、さっきからなんか私ばかり真っ赤になったり、緊張してるみたいだなって思っただけで…」
「ばーか。好きな奴の前で、緊張しない奴なんているかよ。俺だって…」
そう言って水原くんは、私の頭の後ろに片手をまわしてきて…
私はそっと、水原くんの胸のあたりに、抱き寄せられる。
「俺だって今、すげードキドキしてるんだからな。全然余裕なんかないっつーの!」
私の耳のすぐそばで聞こえてくる水原くんの心臓の音は、すごく早くて。
あ…水原くんも、私と同じなんだって思えた。



