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一一まず、愛らしいと思った。
リンカーングリーンの緑髪に、少し青がかった黒の瞳。
真っ白の肌に、真っ白のワンピース。
二つに結ってるためか、やけに幼い顔立ちからか、兎を連想させる少女だった。
ついで。
傍らの男の、心配そうな顔に驚いた。
そんなに動揺する男だったか。
そして男の趣味を理解した。
「社長はロリコンでいらっしゃいましたか」
「……幼く見えるが、一応16歳だ」
「何歳差でしょうか」
痛いところを突かれ、たじろぐ。
黒髪にメガネが似合うスーツ姿の野崎は、ルイの後ろから出てこない少女に声をかけた。
「こんにちわ。野崎風香と申し……言います」
できる限り砕けた物言いを心がけた方が良いだろう。
親近感をわかせた方が仲良くなれそうだ。
「…あ……く、国崎…メイれ…メイです……」
一回噛んだが、自己紹介をしてくれた。
「メイさん、よろしくお願いします」
「……ぉ…ねがい、します」
そうしてメイは、野崎のマンションに初めて入った。
一人暮らしにしては大きい部屋だった。
3LDKのオートロック式。
野崎らしい黒と白を貴重としたインテリアが多かったが。
「……野崎…お前こんな趣味が」
「黙ってください社長。個人の趣味をとやかく言われるのはいくら社長と言っても許しません」
一部屋だけ、異質だった。
「…大学時代にハマったんです。蜜柑という友人に勧められて」
俗に言うコスプレ衣装が置かれていた。
メイド服や制服などが飾られている。
「アニメとかというより…その、可愛い格好がすきなだけです」
珍しく恥じらう野崎に目を見開くルイ。
こんな趣味があったなんて。
「…わあ!かわいい…!」
ずっと背後にいたメイが飛び出してきた。
そして一着の制服を手に取った。
彼女はなぜかずっと制服に憧れていた節がある。
ふわふわした服も好きだし、こういう部屋は天国なのだろう。
「着てみますか?」
野崎が聞くと、少し迷ってルイを見た。
許可を求めてるのだろう、こくんと頷くと顔をぱあっと明るくさせた。
「…はい!」
笑いかける野崎に、ルイは少し安堵を覚えた。
(良かった、仲良くなれそうだ)
野崎に任せてよかったと安堵の笑みが浮かんだ。



